睡眠 食事 飲酒 ウォーキング

休日の寝だめ、
実は効果なし!?

平日の睡眠不足を補うため、休日に「寝だめ」をした経験はありませんか?実際は、眠りをためることはできません。むしろ体内時計のずれが生じることにより健康へ悪影響を及ぼすことが報告されています。休日に長時間の睡眠を取っている状態は日頃の睡眠時間が不足しているサインのため、睡眠習慣を見直す必要があります。

心と体を整える
睡眠休養感がカギ!

1日の疲れをとって、明日へのエネルギーを補う睡眠にとって重要なのが「睡眠休養感」です。睡眠で休養がしっかりとれている感覚のことで、起床時に心身の爽快感が得られ、日中の活動が活発になります。しかし、睡眠休養感が低下すると健康状態の悪化、長期的に見ると死亡リスクが高まることにもつながりかねません。

良い睡眠のために心がけたいポイント

寝る準備
を整える

就寝1~2時間前に入浴を済ませましょう。
寝室の温度は「暑すぎず、寒すぎず」(意識するこ)。

寝る前の
注意点

就寝1時間前は家事や仕事、勉強は避けましょう。
スマホやカフェインはNGです。
寝酒は避けましょう。また、無理に寝ようとせず、
眠気が訪れてから寝床に入るようにしましょう。

目覚めたら

カーテンをあけて日光を浴びることで
夜の寝つきにも良い作用があります。
適度な運動・ストレッチを行うことを心がけましょう。

理想の睡眠のための
環境づくりを大切に

一般的に、睡眠時間は6時間以上を目安として確保するよう推奨されています。良い睡眠を得るためには環境づくりも大切です。そして、一番大切なのはリラックスすること。無理に寝ようとすると逆効果です。また、不規則な交代勤務の仕事をしている人は眠気や疲労改善のため、夜勤中に20分から50分の仮眠をとることをおすすめします。

推奨する睡眠時間について

個人差がある点を踏まえつつ、日常的に質・量ともに十分な睡眠を確保する目安としてください。

小学生 9~12時間程度
中高生 8~10時間程度
成 人 6~9時間程度
高齢者 6~8時間
(目安は8時間以上にならないこと)

《参考資料》

  • 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(厚生労働省)

神谷 義人

名桜大学人間健康学部スポーツ健康学科 教員/
健康おきなわ21(第2次)最終評価
食生活・身体活動分野別委員会 委員

健康運動指導士として健康づくり、介護予防に従事していた経験を生かし、健康運動指導者の育成や講演・出前授業を実施している。最近の研究テーマは、「ウチナーンチュを歩かせるためにどうしたらよいか?」

沖縄県民は食生活において
脂質と塩分を摂り過ぎ!?

近年の沖縄県民の食生活は、食の欧米化が進んだ影響などもあって、脂質と塩分を摂り過ぎる傾向があります。これは昔に比べて生活が豊かになり、肉やパン等の脂質が多く含まれている加工食品の摂取が増えたことで、野菜や魚の摂取量が相対的に減っていることなどが要因として考えられます。

野菜・きのこ・海藻・果物を
積極的に取り入れよう

県民に不足しがちな栄養素、食物繊維やミネラル(カリウム等)を補うために、それらが含まれている「野菜」「きのこ」「海藻」「果物」を意識して摂取しましょう。食物繊維は、腸内環境を整えたり、ダイエットにも良い影響があるほか、高血糖・脂質異常症予防や改善の効果が期待できます。また、カリウムは体内の余分な塩分を外に排出する働きがあるため生活習慣病の予防としても重要な役割を果たします。

外食の場合

麺類や丼ぶりなど炭水化物メインの単品メニューではなく、栄養素をバランスよく摂れる定食メニューがおすすめ

コンビニの場合

お弁当を選ぶ際はおかずが豊富なものを選び、プラスαでサラダや乳製品などのメニューを追加して足りない栄養を補おう

自炊の場合

油が多くなりがちな「揚げる」「炒める」よりもカロリーを抑えることができる上記の調理法がおすすめ

外食やお弁当は野菜のおかずが不足しがちなので、プラス1品としてサラダや小鉢などをつける工夫が必要です。自炊の際は食材を「蒸す」・「ゆでる」・「煮る」・「グリルする」といった調理法がおすすめ。また、朝食抜きは肥満や糖尿病のリスクが高まるとされています。まずは1日3食よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

無理なく続けられる食生活と
健康管理をはじめよう!

健康な食生活を目指すには自分自身の体を知ることが大切です。体重計に乗ることを習慣にしたり、健康管理アプリを活用して自分の食生活の“クセ” を可視化することで、「無理なく」「継続的に」健康づくりに取り組むことができます。

《参考資料》

  • 「令和3年度沖縄県県民健康・栄養調査結果」(沖縄県)

友利 由希管理栄養士(公認スポーツ栄養士)

医療法人六人会ロクト整形外科クリニック/
rokuto RE Sports Medical & Conditioning Centre(リスポ) 所属

沖縄県の各市町村における「食事改善推進委員事業」推進委員養成講師及び講習等の実績を有する。現在はスポーツ栄養士としてプロチームの栄養サポートの活動のほか、ジュニア~シニアまでの栄養指導を行う。

アルコール性肝疾患の
死亡率が全国の2倍以上!!

アルコールの過剰摂取は、血中脂肪の増加や肝機能の低下を招きます。沖縄県は全国と比較して「アルコール性肝疾患」での死亡率が男女とも2倍以上高いという結果が出ています。また、アルコール要因の疾患としては、ほかにも身体面では脳卒中やがん、精神面ではうつや認知症などが挙げられます。

自分に適した飲酒量を知り、
健康への意識を高めよう

沖縄県では全国と比較して飲酒の習慣がある人が5倍にものぼり、近年は女性の飲酒習慣が増加傾向にあります。節度のある飲酒を楽しむためにも、まずは自分自身にあった適切な飲酒量を知ることからはじめましょう。「AUDIT(アルコール使用障害同定テスト)」でも確認することができます。

節度ある適度な飲酒/主な酒類の換算の目安
(目安量:1日当たり「純アルコール量」 男性20g以下、女性10g以下)

お酒の種類 ビール
(中瓶1本500ml)
清酒
(1合180ml)
ウイスキー・
ブランデー
(ダブル60ml)
焼酎(35度)
(1合180ml)
ワイン
(1杯120ml)
アルコール
度数
5% 15% 43% 35% 12%
純アルコール
20g 22g 20g 50g 12g

出典:「健康日本21」(厚生労働省)

1日当たりの「純アルコール量」で見ると、男性19gまで、女性9gまでであれば、病気にかかる可能性を減らすことができるとされています。但し酒類ごとに度数やアルコール量が異なり、体の大きさや体質、年齢などによってアルコールで受ける影響には個人差があります。また、飲酒時の体調によっても変わるほか、女性や、飲んだらすぐ顔が赤くなるような代謝機能が低めの方、65歳以上の方はとくに注意が必要です。

ちょっとした工夫と習慣で
お酒と上手に付き合おう!

日頃飲酒習慣のある人は週2回の休肝日をつくり肝臓をいたわることが大切です。また、食事と一緒に摂る、お酒を強要しない、一杯目のあとにノンアルコールを挟んで酒量を調整するなど、ちょっとした工夫や習慣によってお酒と上手に付き合いましょう。

《参考資料》

  • 「健康おきなわ21 アルコール」(沖縄県)
  • 「健康日本21」(厚生労働省)
  • 「令和3年度沖縄県県民健康・栄養調査結果」(沖縄県)

友利 由希管理栄養士(公認スポーツ栄養士)

医療法人六人会ロクト整形外科クリニック/
rokuto RE Sports Medical & Conditioning Centre(リスポ) 所属

沖縄県の各市町村における「食事改善推進委員事業」推進委員養成講師及び講習等の実績を有する。現在はスポーツ栄養士としてプロチームの栄養サポートの活動のほか、ジュニア~シニアまでの栄養指導を行う。

まずは1日5分間!
気軽に始める“運動習慣”

県民も自認する"歩かない県"、沖縄。働き世代(20〜64歳)の1日の平均歩数は男女ともに全国に比べて少ないばかりでなく、減少傾向となっています。また、日常生活の中で長時間座りっぱなしの方は、なるべく頻繁に身体を動かすことが健康にとって重要なことが分かっています。一方で、これまで「20分以上継続しなければ効果がない」と言われていた運動も、短時間でも積み重ねれば効果があると見直されています。まずは1日5分から始めませんか?

許容できる歩行距離(分)の地域比較 首都圏vs沖縄県

《あなたは、行きたい場所(コンビニ、スーパー、バス停、知人宅など)が、
どのくらいの距離(分)であれば歩いて行こうと思いますか?》

出典:「一般成人における歩行行動を予測するAcceptable Walking
Distance指標の有効性に関する研究」
(名桜大学人間健康学部スポーツ健康学科 神谷義人、琉球大学医学部保健学科 喜屋武亨、琉球大学医学部保健学科 高倉実)

上記の研究によると、男女ともに沖縄県は歩こうと思う距離(分)が短いことが分かり、首都圏と比較すると歩行意識の差は明らかです。

運動実施率1位!
ウォーキングは良いこと沢山

運動・スポーツの中で最も多く実施されているのがウォーキングです。ウォーキングのメリットは、日常生活に取り入れやすく、特別な道具がいらないこと。有酸素運動なのでエネルギー代謝の促進につながり、ストレス解消や質の良い睡眠などにも効果的です。毎日短時間でも続けることでメリットを得ることができます。ウォーキングの際は、普段よりも歩幅を少し広げながら、やや"大また歩き"を意識してください。

健康づくりのための身体活動推奨事項について

成人 歩行または同等以上の身体活動:1日60分以上
※1日約8,000歩以上に相当
高齢者 歩行または同等以上の身体活動:1日40分以上
※1日約6,000歩以上に相当
〈共通事項〉
座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意

目指すは1日8,000歩!
歩きグセをつけて習慣化

階段を使う、通勤・通学に週1だけバスを使うなど、気軽に日常生活で「歩く選択」をする環境やしくみを作ることで歩く機会が増えます。また、頑張りを「見える化」できる歩数計の活用は継続意欲にもつながります。沖縄県健康づくりアプリ「オーロラ」には歩数ランキングコンテンツもあるので、ゲーム感覚でウォーキングを楽しむことができます。

《参考資料》

  • 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(厚生労働省)
  • 「令和3年度 県民の体力・スポーツに関する意識調査報告書」(沖縄県)
  • 「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)、「県民健康・栄養調査」(沖縄県)

神谷 義人

名桜大学人間健康学部スポーツ健康学科 教員/
健康おきなわ21(第2次)最終評価
食生活・身体活動分野別委員会 委員

健康運動指導士として健康づくり、介護予防に従事していた経験を生かし、健康運動指導者の育成や講演・出前授業を実施している。最近の研究テーマは、「ウチナーンチュを歩かせるためにどうしたらよいか?」